天皇皇后両陛下

天皇皇后両陛下が私の散歩コースにお見えになった。
４月６日のことだ。

６日の朝はいつも通り家人と散歩に出かけた。ウッドランド迷彩柄ブーニーハットにサングラス、スエットパンツに、首にはRICOH-CX2をぶら下げているといういつものスタイル。歩いている途中、伊東の駅近くでピザ屋さんをやっているYさんが乗った軽トラが止まり、「今度すぐそこで店開きますから・・伊東の店やめました。」と伝えた。「えっ？どこ？」なんて会話をしばししたあと、「天皇陛下、１０時に川奈ホテル出て、池は１０時２２分だそうですよ。」その時の時間９時２５分頃。

神社の手前で池の区長さんに会った。背広着てちょっと緊張気味だ。区長さんの晴れ姿をカメラに納め、
「なんで池が選ばれたんですか？」と私、「三カ所くらい候補があったみたいですが、自然が残っていることで選ばれたようです。」と区長さん。そんな会話をしながら一緒に神社まで歩いて行った。





山神社の前には多くの人が居た。




人混みをかきわけ、トイレへ行く。トイレの前の広場にはワンボックスが止まっていて、その前に「警察」と書かれた腕章をした私服のおっさん。見回したらやたらそんな感じの人が多い。池の人達が並んでいる前には規制ロープが。（黄色い「立ち入り禁止」などと書かれた黄色い規制テープではない。）その前で私服警官（以下私服と略す）が「お出迎えの方はこちらへどうぞ」なんて言いながら案内している。最近のおまわりさん愛想いいなって感じだ。




両陛下が今日お見えになることは知っていたが、多分午後だろうなんて勝手に思い込んでいたから、散歩の途中でコースは変えたくないし、規制している私服に「この先いっても良いですか？」って聞いたら、「まだ時間はありますからどうぞ。」ってなわけで、規制線に並んでいる人達を尻目に歩き出した。




すぐ先にTさんが居て、「センター（生涯学習センター池会館）に１１時７分だって。」という情報をくれる。歩いていて、ぽんぽんj情報が入ってくる。３０年も住んでいて毎日同じコースを自転車やウオーキングをしているからなのか、知り合いが多い。

はたして「池の里」の前のいつもの体操場所に着くと、その先に多くの人が居る。「めんだっこスクール」会長の濱野さんも背広を着て待ち構えている。陛下に説明をするという。「緊張していないけど。」と言っていたけど十分緊張している顔だった。そして記念撮影。




いつも通りの体操を始めると一人の人がこちらにやってきた。「あのー、天皇陛下がこちらにお見えになりますので、ここから先は行けません。この辺の方ですか？」「はい、毎日ここへ散歩に来ている者です。分かりました、ここから戻りますよ。こんなかっこうで、人相悪いから職務質問ですか？」って言ったら、「いやー私らも人相悪いですからねー。」という返事。思わず、「そりゃそうですよねー。」って言ってしまった。
体操終わって歩き出したら、私服もついて来る。ちょっと戻った所に菖蒲園がある。そこの駐車場にロープが張られ、そこに数人の人がたむろしていた。ついてきた私服に「ここで見ていても良いですか？」って聞いたら「いいですよ。」とに返事。我々はそこのロープの内側に場所を移し帽子サングラスを外しロープ前に並んだ。

しばらくして、私服の数が増え、いろいろ説明が始まった。「カメラは遠慮してもらいたい。」とか「自分たちはいつも警備で反対側を見ているので、両陛下を見られることはほとんど無い。」とか「最初に３という番号の車が来て、そのあと２，１という車が続いて来るがそれぞれ３分前、２分前、１分前という合図でそのあと並んでくる２台目が陛下が乗られている車で、菊の御紋章のナンバーだからすぐ分かる。」そんな話だった。

はたしてシルバーの車が一台やってきた。私服が耳についているトランシーバーでやりとりしている。
「今の車が３分前みたいです。」って説明があり私服が「警察」と書かれた腕章を外し、我々と一緒のところに並び始めた。そのあとすぐ、黒い車が見えてきた。動画モード入れっぱなしのCX2をおなかの前で平行にして横を見ると、次男が中学の時の校長先生がこちらを見てカメラ片手ににやっとしている。こちらも思わずウインクしてうなずいた。こんなことめったにないから写真とりたいよな。

あっという間に車列は通り過ぎた。我々が立っている前で若干スピードを落とし、車内で我々に手を振られる両陛下の姿が・・あっという間のことだった。
結局私服の人の説明があった３，２，１の車や菊の御紋はなく、普通のナンバーだった。
プライベートに近いことに使う車は別なんだろうな。そんなことを感じながら後ろで警備している私服を見たら我々と同じ方向を向いているではないか。思わず「後ろ見てなくていいの？」って言葉を発してしまった。
後ろは菖蒲畑でだれもいないからその必要もないから当然なんだけど、「いやー今日は初めて見ることが出来ましたよ。」と嬉しそうな声。思わず笑ってしまった。
皇室のお迎えってこんなに和気あいあいなのか？




お店の開店時間があるから、早々に引き上げよう、って思い、私服に「もう行って良いですか？」ってきいたら、もう少し居て下さい。との答え。でももう行きますからって答え、歩き出したら無線で、「２名そちらに向かいました。」って連絡していた。

そのあと、神社の前を通ったら、「全然見えなかった。」とかいう声が聞こえたから我々がいた場所は特等席だったのかと思った。そしてセンターの前は人の山。「すいません、通して下さい。」って言いながら、人混みをかき分け通ると、「お迎えはそちらでどうぞ。」って私服が言う。「いや通行人ですから・・」って言いながら帰途についた。







この騒ぎのおかげで店の開店は約１５分遅れた。帰り道の桜並木は「池」の喧噪とは真逆に人の姿は少なかった。




後日センターに行き、事務所のYさんに「この前は大変だったね。」と声をかけたら、いつもの調子でその時のことを話してくれた。聞けば両陛下にお茶をお出ししたそう。「部屋見せてあげるよ。」ってことになり、２階の会議室まで行き、中を見せてもらった。殺風景な部屋で両陛下は３分間休憩なさったそうだ。床はぴかぴかに磨き上げられていて、いすや机をぶつけて傷だらけだった壁は修復したそうだ。






池に住む人々にとっては光栄な出来事だったと思う。
両陛下に接した人々は一様に、とてもざっくばらんで緊張なんかしなかった。前から知っている人と話しているようだった。と言っていた。また、何とも言えないオーラがあったとも言っていた。日本国の象徴である両陛下は当然ながらちょっと違う次元の方達なのかもしれない。